インボイス:売手である適格請求書発行事業者の留意点
2023年10月から開始されるインボイス制度において、適格請求書発行事業者にはいくつかの義務等が課されています。
それは、
(1)適格請求書(適格簡易請求書を含む)を交付又は適格請求書に係る電磁的記録を提供する義務
(2)適格返還請求書の交付又は適格返還請求書に係る電磁的記録を提供する義務
(3)修正した適格請求書等の交付又は修正した適格請求書等に係る電磁的記録を提供する義務
(4)上記(1)から(3)までの書類の写し又は電磁的記録を保存する義務
で、この4つが適格請求書発行事業者に課されている義務となります。
(1)は、適格請求書発行事業者には、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限る)からの求めに応じて適格請求書を交付する義務が課されています。
(2)は、適格請求書発行事業者には、課税事業者に返品や値引き等の売上に係る対価の返還等を行う場合、買手である課税事業者に対して適格返還請求書を交付する義務が課されています。なお、適格請求書や適格返還請求書の交付に代えて電磁的記録を提供できます。
(3)については、適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書等(適格請求書等とは適格請求書、適格簡易請求書及び適格返還請求書のことをいいます)の記載事項(提供した適格請求書等に係る電磁的記録の記録事項)に誤りがあったときは、買手である課税事業者に対して修正した適格請求書等を交付する(修正した適格請求書等に係る電磁的記録を提供する)義務があります。
(4)は、適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書等の写し及び提供した適格請求書等に係る電磁的記録の保存義務があります。この適格請求書等の写しや電磁的記録については、交付した日又は提供した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければなりません。
インボイス交付違反
適格請求書発行事業者の登録を受けていない事業者が、適格請求書や適格簡易請求書と誤認されるおそれのある書類を交付することや、適格請求書発行事業者が、偽りの記載をした適格請求書や適格簡易請求書を交付することは禁止されています。
違反した場合の罰則も設けられており、具体的には、インボイス制度に関して違反した場合には、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科されます。